遥かに仰ぎ、麗しの

昔のようには時間が作れずにボチボチ楽しんでいたけど、ようやく終わった。主人公はちょっと気の効くくらいで際立った特徴も為か、シナリオライターが性格を統一するのが難しかったらしくて、分校ルートと本校ルートで性格がかなり異なっている。この影響で話ごとの雰囲気もかなり異なり、本校ルートを終えてから分校ルートに入るとかなりの違和感を感じた。しかし、振り返ってみると、どちらもルートも話も甲乙つけがたい良いできだった。
分校ルートの方が、大学を出たての教師らしいかもしれん。生徒と交流していくにつれて、相手の初め持った印象から変わっていくところが良い。この点は邑那のシナリオに集約されている。まるで主人公が相手を理解できていないにもかかわらず、誰よりも邑那を気にかけているのが解るし、邑那が主人公に心引かれながらも秘密を守るために悩むのもよく解る。
相手がどう見えるかは自分の視点や相手との関係によって変わるものだし、そこに意味を見出せるかは瞬間毎にかわる。それが光の当たり方で変わる彫像と、それにみて主人公が見え方が変わっても形のある存在と感じるシーンに象徴されている。私としては相手に何か本質があるのでなくて、たまたまキーとなり発展するのだと思っている。でも、シナリオライターは普遍的な本質があると考えていて、このシーンがとても印象に残った。その他では野球シナリオの3人の視点と行動がよい。同じイベントの中で性格の異なった3人の特徴がよくでている。
本校ルートでは、主人公の幼年期の苦労ゆえに、正しくあろうとする努力する思慮と意思がすばらしい現れていてすばらしい。生徒側も感心するような配慮、選択、行動をとるので小気味良い。読んでいて、うーん10代の生徒,20才そこそこ教師がやることじゃねーと何度も突っ込んでしまった。その辺が楽しいシナリオだ。ところが再読すると、読み違えたり、無意識に逃げていたりして、やっぱり経験の足りない若者なんだよな。必ずしも主人公がヒロインを助ける人間関係になっていなくて、互いに影響しあうになっていて面白い。
本校ルートもそうだけどシナリオがとても凝っていて、殿子シナリオだったと思うけど、言いかけて途中になった会話が後に聞いたりと、へーと思わせる。小道具の使い方もうまいよなぁ。みやびルートが主人公の問題も絡んで中心的なシナリオだと思うけど、殿子もキャラクターがたっていて会話がよい。そこから無 梓乃も期待以上に大変良かった。どれもシナリオが上手く強め合っていて好印象だった。