ゆらぎの森のシエラ -菅浩江

話というよりはイメージが鮮明な気がした。美しいだけでなくてグロテスクで生命力のある作品にしたかったのだろうな。最近の作品に見られる艶に達してないけど、素朴な部分がかえって楽しめた。幼いゆえのシエラの残酷さとか、知識を得て悩むさまは過不足なく書かれていると思った。文章が菅浩江らしくなく荒い感じで、書きながら変化しているような気がした。書きながら、もどかしく思っているのが伝わってくるようだ。
K君はメルサスの少年の習作じゃないかという意見。SFの人によく見られる傾向で菅浩江も同じネタを何度も使う傾向にあるから、完成度も考えるとそう批評できてしまうのかも。でも、自分としては最終的な纏めはともかくとして、途中の混乱はタイトル通りでとても好きだ。