ゆらぎの森のシエラ -菅浩江

話というよりはイメージが鮮明な気がした。美しいだけでなくてグロテスクで生命力のある作品にしたかったのだろうな。最近の作品に見られる艶に達してないけど、素朴な部分がかえって楽しめた。幼いゆえのシエラの残酷さとか、知識を得て悩むさまは過不足な…

パーム

良くも悪くも事件に巻き込まれてしまうJBだけど、これでダーティな関係と決別したのかな?これまで混沌とした感じが好きな読者としては、あんまり聖人君主になっても面白くないのだけども。この人の場合は、いつまでも引きずって良いものでない。望みを持っ…

薔薇のマリアVer.2

面白いー。自分の好みとしてはVer0, Ver2が良いけど、これだけ異なった雰囲気を書けるのは、たいしたものだと感心する。それぞれの話の絡み方も長編やシリーズものが好きな人にはたまらない。ライトノベルというよりかは昔懐かしいファンタジー小説の性質が…

狼と香辛料III

相変わらずの中世金融ファンタジー。今回は本来価値がないものが、売買によって市場価値を持つ話。wikipediaによると、黄鉄鉱は見た目が美しいようだけど価値はないらしい。本来は利用価値のないものが祭りで販売されるアクセサリーとして価値を持ち、そこか…

Acrobat Reader見開き表示を左綴じから右綴じに変える

ページのレイアウトとPC上の画面表示の関係から見開き表示にした方が読みyやすい。しかし、この表示では横書きの文章だと問題ないが、縦書きの文章だと気持ちの悪い表示になってしまう。どこかに設定がないかと設定を探したが見つからない。ヘルプで見開き表…

薔薇のマリア −つぼみのコロナ

薔薇のマリアを読んだ。これは面白い。文章にスピード、力強さがあって、それは主人公のレニィの魅力から出ている。育ちの複雑さにもかかわらず実直な性格で16歳の年相応の経験しか持たない。しかし、状況判断の早さ、決断力、タフネスさが並みでない、行動…

おもしろげ?

煌夜祭

夏化粧:池上永一

一人の作家のなかで「ワガシマヌパナス」「風車祭」の素朴でおおらかな世界と「レキオス」「ぼくらのキャノン」の闘争的な世界が生まれるが不思議に思っていた。この本はちょうど中間で、ようやく繋がったような気がする。オバァのいたずらも、命をかけるよ…

デモンベイン

さすが古橋、笑うところなのか感心するところなのか。よくもまぁ。こういうネタが思いつくなぁ。それでも、クトゥルー神話の世界観かやマガマガしさから外れていない。始めから虚無、時間のキーワードを出してブレずに一直線に進むシナリオの展開やスピード…

ゲド戦記外伝

アースシー世界の過去、些細な出来事など本編には書かれなかった事だが、物語とかかわりがない分自由に書かれている気がする。カワウソはゲド戦記には珍しく恋の話が直接かかれていて新鮮だった。内海の漁師のときにも感じたが、ルグィンって、こういった素…

ゲド戦記IV アースシーに吹く風

帰還のときからの魔法体系への疑惑が物語の表面にまであらわれ、世界の構成の重要な要素だった生死について、魔法使いの倫理が逆転してしまった。全くアースシーの世界観が揺らぐ衝撃的な内容だった。良くも悪くも世界を体系化していた殻がやぶれ、真実と混…

ゲド戦記 帰還

物語は英雄譚から反転して、その後の力を現実に移り変わる。再びテナーが話の中心になりゲドを眺める。テナーは巫女の立場から自分を取り戻すために逃れて一人の女性として生きてきた。僕なんかが見ると、自分の出身の違いを感じさせないように地域に溶け込…

エマ

最終巻。絡まっている人間関係がまとまらずに終わってしまった。だらだら長期化して面白くなくなるより、エマに焦点を当てて纏めてしまった方が良い。でもジョーンズ君の身辺の整理くらいはつけた方が気分が良かったのじゃないかな?

ハルヒ

大賞を取ったときに読んだけど、詳細な設定があっても話のどこが面白いのかわからなかった。そのうちアニメ版が話題になって、今度はアニメ版を見て少しはわかった。たぶん、究極超人Rのような面白さなんだろうな。成長するにするにつれて面白くなくなるなん…

ゲド戦記III -最果ての島

大賢者になったゲドが、魔法が衰退する兆候を知らせを受けて再び旅にでる。行く先々で、魔法を失い破滅した魔法使いや呪い師に会い心を痛める。しかし影響は魔術にとどまらずに、街は治安が悪化し人々は思考を失って死んだようになっていた。 読んでいて不吉…

陰日向に咲く

特別生き方に信念とか持っていないどちらかというと普通の人の、ちょっと普通じゃない話だろうか。話慣れていない人が唐突に語りだすような話ぶりから徐々に人となりがわかってくる感じの文体が面白い。 すれ違うだけだったりする、弱く繋がった人間関係が繋…

ゲド戦記I, II 影との戦い、こわれた指輪 -アーシュラ・K・ル=グィン:

前から読みたいなあと思っていたけどカードカバーしかなくて読んでいなかった。ゲドIは英雄譚の収録という形式をとっている。文体も人物の行動を中心にした修飾の多いものになっている。所有せざる者に似た感じの文体で、かなり初期の作品なのだろうな。すで…

清明鬼伝 -五代ゆう:

なんとBoy meets girlだった。よく知られた人物にもかかわらず、知られている事実から別の加茂家や清明を作り出した、本当にたいしたものだねえ。物語に工夫が凝らされていて最後まで展開が読みなくて、意外な結末に驚いた。やられたミスリードだよ。さらさ…

陰陽師

陰陽師シリーズの初期は人の性について語る物語が多かったのが、徐々に存在そのものについて語る物語になっていた。今作品は淡々としているようでいて、それを強く感じた。陰陽師風にいえば、どちらも同じく呪であり人にかけるか自然にかけるかの違いという…

狼と香辛料(支倉 凍砂)

新人の作品を1つ選んで読んだ。神とも呼ばれる長寿の狼と若手の商人という人物の組み合わせが面白い。麦の穂を狼の尾に見た立てて狼神が麦の穂に宿り豊作をもたらすとされる所など、とても自然で実際にそんな信仰があってもおかしくない。セリフがまわし気が…

PLAM28:午前の光Ⅱ(野生獣木)

本屋によると運良くPLAMの新刊が売っていた。Amazonばかりでなくて本屋によるのも吉だね。前シリーズとはうって変わってJ.B.が暗殺宣言するなどダークな展開に(暗殺とまでは言ってないか)。マフィアやらFBIやら、またむさいオジサンたちがぞろぞろ出てきたり…