ゆのはな:

旅の途中で事故を起こした主人公が、ゆのはな町の土地神「ゆのは」に助けられたまでは良かったが、社の弁償を求められバイトに明け暮れる所から始まる話。最初から笑わせてもらったが、旅人から見た寒村の冬の景色や人々の生活がしみこんでくる。丸谷さんのシナリオらしく、明確ならない部分も残したまま1ヶ月のバイト生活のあと、また帰ってくることを誓い東京に帰る。気になって仕方がない場合もあるけど、日常を描く「ゆのはな」では普通の生活らしく見える。テンションの高い主人公からの視点なので、ヒロインが何を望んだのか、どうなってしまったのか戸惑う時もある。若い登場人物たちの心は揺れ動くし、心と行動が乖離もあるために不思議ととらえどころのない。ゆのはという町、明確になりきらない人の思い、過ぎてゆく日常が重なり合って優しい物語になっている。