iPhone考

携帯端末は本質的には多くの人に必要とされる魅力があるにも関わらず未だ確立していないジャンルだ。半導体技術が進んだ現在では、とくに操作性と表現力の制限が問題になっていると思う。Appleは長い開発期間をかけてiPhoneという形で形にした。
iPhoneは日本にはしばらく入ってこないので実物を触ることは出来ない。でも発表時に機能や特徴についてかなりの情報が明らかになった。またYoutubeなどの動画で。操作方法を確認することができる。これらの情報をうけてブログで感想を聞くことができる。http://d.hatena.ne.jp/wetfootdog/20070111/p1
実際に触ってみたいという内容で、おおむね第1印象は成功している。なかには不満な点を述べているものもあり、タイピングに関するものとGPS, 音楽の直接購入などの機能的なもの、OSXにも関わらずユーザーがアプリケーションを入れられない縛りなどがあった。

http://d.hatena.ne.jp/essa/20070111/p1 タイピング
http://sho.tdiary.net/20070111.html#p01 タイピング, GPS, アプリ
http://satoshi.blogs.com/life/2007/01/iphone_1.html iTune, アプリ

iPhoneの生い立ちがMacOSXを利用したタブレットPC研究から始まったのに携帯電話として登場した。http://afternoon-milk.tea-nifty.com/big_apple/2007/01/iphoneiphone_16ad.html Appleは現在の技術では、競合するノートPCを考えると手持ちにできる機器でPC的な利用を行うのは困難であると考えたに違いない。

現在のAppleは、技術的な高望みせずに現在の技術的に可能である範囲の操作、表現力でどんな道具が実現できるか綿密に計画する。これはJobs以前のAppleには見られなかった傾向で、おそらくJobsにAppleII以降開発が遅れ結果的に他社の独占を許した教訓があるためだろう。このあたりが、全く新しいディバイスを作ってしまう任天堂とは異なっている。
iShuffleでは操作性にあわせて機能を大胆に省略した。現在の携帯機器の操作性を考えて、操作して不快になるほどの機能を盛り込まないはずだ。その枠のなかで、携帯電話のジャンルでAppleは今以上の使いやすい道具を提案できると考えたのだろう。

Appleの考えた携帯端末は少ない操作で情報を出力する機器だ。動画をみても緻密な操作や複雑な操作を行っていない。をまた、明暗センサーや加速度センサーがついていて自動で設定を変更してくれるようだ。画面を広くしてスライスペンを利用しないのも一瞬の操作で終わり、後は眺めることを前提にしているためだろう。
考えれてみれば、テレビによって生産性を失うことを非難していたJobsが、携帯機器に関心を奪われ黙々とキーを打ち込むのをよしとするはずがない。不便な操作で仕事をすれば効率が下がるに決まっているのだから、仕事は準備された環境で作業すべきだと考えるだろう。iPhoneは人間の行動を情報を取り出すことで補助する道具を目指している。

Mac worldの発表はMacOSXとガジェットを見せたためにPDAであるような間違った印象を与えてしまった。Appleは広報の形を変更する必要がでるだろう。wiiが行ったように操作するシーンを中心した広告を示して、いかに使って欲しいのか説明に追われるだろう。印象だけが先行してしまった場合、iPhoneは誤った評価を受けて失敗してしまうだろう。

追記

  1. Appleの出した結論は、現在の操作性では一般の人にPDA的な使い方はできないという事だ。音声認識などのテキストを入力する方法がなければ、次のステージに進めない。
  2. iPodのような、ナガラ作業をするものをJobsが作ったのが不思議だ。環境音楽があったほうがリラックスして作業が進むと考えたのか、移動中にみる風景にふさわしい音楽を聴きたかったのか?ともかく、Jobsは仕事の効率ということでなくて人生の効率を考えているはず?

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